ドメーヌ・レ・ドゥー・テール
ヴァランセをローヌ川に沿って南に50kmほど下ると、お菓子のヌガーの発祥地モンテリマールがある。モンテリマールからローヌ川の対岸へ渡り、小高い山間を西へ 25kmほど進むと、ドゥーテールのドメーヌがあるヴィルヌーヴ・ド・ベールにたどり着く。総面積8haのドメーヌ畑は、ヴィルヌーヴ・ド・ベールから4km北上した、標高340mの粘土質・石灰質土壌の丘ミラベルに5ha、そこから3kmほど離れた標高380mの南向きに面したバザルトの台地リュサスに3haと大きく2つのテロワールに分かれて、それぞれ違う個性のワインをつくり出す。気候は地中海性気候で夏は暑く乾燥しやすいが、大陸性の気候や山間のミクロクリマも左右し、年間を通じて適度な雨も降る。また、昼と夜の寒暖の差が激しいのでブドウの成熟に適している。この地域は丘陵地帯で山間の渓谷などが複雑に入り組んだ自然の観光スポットがいくつもあり、夏はアウトドアの旅行者で賑わう。ワインのほか、栗やシェーヴルチーズのピコドンなどが有名。
マニュエルとヴァンサンが最初に出会ったのは1998年、ミラベルにある農業学校で、ヴァンサンは当時農業学校にある畑とカーヴの仕事に従事し、マニュエルは自分でワイナリーを立ち上げる準備の一環として学校に通っていた時だった。二人はその時に意気投合し、いつか一緒にワインづくりを行なうことを誓う。2000年に学校を卒業したマニュエルは、コトー・デクス・アン・プロヴァンスにあるドメーヌ・グロージュの醸造責任者として働き、その翌年の2001年、マニュエルの強い説得と推薦で、ヴァンサンは農業学校を退職し、ドメーヌ・グロージュの栽培責任者として加わる。2004年、ワイン哲学の違いからマニュエルがドメーヌを退職し、ヴァール県のサン・マキシマンにあるドメーヌ・デファンの醸造栽培責任者として働き始める。そのマニュエルを追う様に、同年、ヴァンサンがドメーヌ・グロージュを辞め、同じくサン・マキシマン付近にあるドメーヌ・トリエンヌ(デュジャックのジャック・セイスとDRCのオベール・ド・ヴィレーヌがスタートさせたドメーヌ)の醸造栽培責任者として働き始める。ドメーヌ通しが近く、交流が深かったことから、また再び二人は毎日顔を合わせることとなる。2008年、満を持したマニュエルがヴァンサンにドメーヌ立ち上げのプロポーズをし、一足先にアルデッシュに戻り3haほど畑を購入する。2009年、ドメーヌ・トリエンヌを退職したヴァンサンもアルデッシュに戻り、父親が持つ畑5haを引き継ぎ、ドメーヌ・レ・ドゥーテールをスタートさせる。
ビニョロンの家系だったヴァンサンとビニョロンの家系でなかったマニュエルが二人三脚で経営するレ・ドゥーテール。マニュエルがリュサックにある3haの畑、ヴァンサンがミラベルにある5haの畑を所有し、醸造栽培は2人で管理している。(他にヴァンサンの父親が畑、マニュエルの妻が事務の仕事を手伝う)彼らのモットーは「消費者が喜ぶ自然派ワインをつくる!」こと。ワインの欠点に一切の妥協は許さず、常にコストパフォーマンスの高いワインをつくり上げるために、テイスティングなどお互いの厳しいチェックは欠かせない。レ・ドゥーテール「二つの土地」というドメーヌ名には、2人の才能、2人のそれぞれテロワールの異なるブドウを持ち合わせ、ひとつの素晴らしいワインをつくり上げるという彼ら一心同体の強い思いが込められている。
リーパイユ(赤)
2022年の情報です。
リーパイユのラストヴィンテージ!1ha あるカリニャンの畑のうち 0.7ha が古樹の区画だが、近年樹勢の衰えや木の病気エスカが目立つようになったため、やむなく今年 2023 年の 2 月に伐根を決意した。これによりカリニャンの 7 割を失ったため、結果的に 2022 年がリーパイユ最後の年となった。2022 年は、ブドウがかつてないほど早熟の年だった。夏の日照りと猛暑により酸がブロックされ、その後収穫直前に降った雨が潜在アルコール度数を下げたことで、収穫したブドウは、黒々と色の色素がありながらもカリニャンとは思えないほどみずみずしかった。醸造は、ワインにフレッシュさを与えるために若木のブドウは全房のマセラシオン・カルボニック、そして、古木のブドウは全て除梗し、タンニンの抽出を抑えるためにピジャージュは一切行わなかった。出来上がったワインは、一瞬「えっ?ピノノワール?」と勘違いするほど果実味がチャーミングで酸もしっかりとある!タンニンは繊細で優しく、口の中でとろけるしなやかなコクが官能的すぎて完全にノックアウトされそうだ!最後に相応しいキラキラしたワインだ!!
カリニャン。収穫日は9月8日と今までの中で一番早かった!収量は若木が40 hL/haに対し古木が14hL/ha。2022年がリーパイユ最後のヴィンテージ!古木のカリニャンが病気により樹勢が弱くなってきたため、収穫後やむなく伐根することを決めた!ワイン名は「贅沢な食事」という意味があり、通常のカリニャンとは思えない上品な味わいを奏でることからこの名前が付けられた!SO2無添加、ノンフィルター!
色合いは紫がかったガーネット。プルーン、黒オリーブ、プラリネ、クローブの香り。ワインはしなやかかつチャーミングで、コクのあるみずみずしい果実味が染み入るように優しく、キュートな酸、優しいタンニンとのバランスが超絶妙!
2021年の情報です。
マニュエル曰く、2021 年のリーパイユは品質的に今までのミレジムの中で一番の出来とのこと!今回、醸造はまずきれいな古樹のブドウは全て全房のマセラシオン・カルボニックで仕込んだ。次に、若木のブドウとオイディオムの被害に遭った古樹のブドウは全て除梗しクラシックなスタイルで仕込み、最後に 2 つをアッサンブラージュした。アッサンブラージュの際、マセラシオン・カルボニックのヴァン・ド・グートの味わいがあまりにも上品だったため、一時は別のワインとしてリリースすることを考え一部を樽熟成させたが、最終的に全てをアッサンブラージュした。出来上がったワインはミディアムボディ、かつ上品で澄んだコクとフィネスがある!また、フェノールの完熟を十分に待てたおかげもあり、アルコール度数 12%とは思えないミネラルの旨味をしっかりと感じる!加えて、果実のコクの裏に重心の低い酸があり、熟成させても面白そうなワインだ!
カリニャン。収穫日は9月24日。収量は若木が20hL/haに対し古樹が35hL/ha。古樹のブドウは除梗し、若木は全房でそれぞれ別々に仕込みアッサンブラージュ!ワイン名は「贅沢な食事」という意味があり、通常のカリニャンとは思えない上品な味わいを奏でることからこの名前が付けられた!SO2無添加、ノンフィルター!
色合いは真紅がかった深い紫。プルーン、シソ、醤油、インクの香り。ワインはしなやかかつしっとりとしたコクにフィネスがあり、凝縮した果実味に輪郭のある酸、湿り気のある繊細なタンニンがきれいに溶け込む!
2019年の情報です。
今回再リリースとなるリーパイユ 2019 年!これもラドレ 2019 年同様に、現地ではマメが原因で途中販売をストップしていた。2 年カーヴで瓶熟させ、ドゥーテールが再度試飲した時にマメは完全に消えていたので、今回再リリースに至った。(ちなみに 2021 年 3 月に日本でリリースした時は、マメは一切感じなかった)。2019年は歴史的な猛暑と日照りの年だった。前回リリースした時は野趣に富んだカリニャンの野性味あふれる味わいが強く、もう少し寝かせた方が良くなると思っていたが、案の定 2 年カーヴで熟成を経たワインはカリニャンの野性味が少しこなれてワインに溶け込み滑らかさがさらに増している!熟成によりワインが良くなる方向性が改めて確認できたので、できれば後 5 年くらい寝かせてさらに熟成した先の景色を見てみたい!
カリニャン。収穫日は10月1日。収量は前年同様に若木が45 hL/ha、古樹が30hL/ha。前年は古樹も若木も全て除梗しだが、今回は若木と少し傷んだ古樹のブドウは除梗し、残りの古樹のブドウは全房で別々に醸し最後にアッサンブラージュしている!ワイン名は「贅沢な食事」という意味があり、通常のカリニャンとは思えない上品な味わいを奏でることからこの名前が付けられた!SO2無添加、ノンフィルター!
色合いは澄んだガーネット。ドライプルーン、バラの花弁、ヨードの香り。ワインはミディアムボディかつピュアで滑らかな優しい果実のコクに清涼感があり、塩気のある洗練されたミネラルの旨味と繊細なタンニンが上品に溶け込む!(インポーターさん資料から抜粋)