シャトー酒折ワイナリー
シャトー酒折は山梨県甲府市の酒折という場所にあります。この『酒折』という土地は古事記にも記されている山梨県で最も古い地名です。 大和朝廷に対抗する酒折朝廷があったとも言われ、ヤマトタケル伝説にまつわる古代甲州の中心地であったと伝えられています。また、明治初期にはワイン用の葡萄栽培がいち早く行われいろいろと葡萄品種開発の先進地としても知られていました。地理的には昇仙峡、恵林寺をつなぐ北バイパス沿いにあり石和温泉、武田神社、善光寺もすぐ近くにあります。
このワイナリーは、明治初期に山の斜面を開拓して作られた古い段々畑を開発して、 その斜面に抱かれるようなシャトーの名にふさわしい4層階建ての建物を1991年 6月に完成しオープンしました。最上階が入り口、フロント、受付けとなっており、快晴の日には南アルプスが一望に見渡せます。2階が見学フロアーとなっており、 1階のワインの生産設備、製造行程がガラス越しに見下ろせます。地下セラーでは、年間を通じてワインを熟成させるに最適な温度に保たれ、熟成の神秘を肌で感じて頂けます。
製造設備は規模的には中規模ですが、 できる限り自然のままのクリーンなワインを製造できるよう最新設備を整えております。また、製造工程上、微生物管理を徹底して、 一切熱処理をしない瓶詰も行っております。
自社農園では、水捌けのよい南斜面を利用して、 シャルドネ、カベルネソービニヨン、メルロー、ピノノワールなど代表的な葡萄品種を垣根造りで栽培し、試験醸造を行ってきました。 製造量は限られておりますが、品質、出来栄えについては、専門家の評価も高く、シャトーエステートワインとして、シャトー酒折のシンボルと自負しております。
シャトー酒折では、世界から導入した最新鋭の製造設備を駆使し、 常に新しい発想と葡萄栽培技術、ワイン製造技術の最新情報により日本の消費者の嗜好にマッチしたシャトー酒折独自のワインを市場に送り出していきたいと願っております。
特に、日本固有のブドウ品種である、白ワインの甲州種、赤ワインのマスカットベリーAにはこだわり持ち、世界に発信できるような、また同時に日々楽しめるようなコストパフォーマンスを持ったワイン造りを目指しています。
さらに将来的には、これらの日本固有のブドウ品種からなるプレミアムワインについても、原料ブドウを含めて、日々品質の向上を目指していきたいと考えます。
マスカット・ベリーA 樽熟成
2018年における気候は通年通して温暖な状況で、萌芽以降の葡萄の生育は早く収穫も例年より早くなりました。8月までは降水量も少なく、病果の発生は抑えられ順調に生育しましたが、9月に入り台風の襲来等で降水量は増加し、日照量も少なかったため成熟を迎えることが困難でした。しかし、前半の生育が順調だったため、病果は少なく健全な果実を収穫することが出来ました。
葡萄は除梗破砕後、10kℓの回転型発酵タンクを使用し、7℃でコールドマセレーションを行う予定でしたが、冷却設備のトラブルにより温度が低下せず、天然酵母が動き始める兆候があったため、4日目に酵母RC212を添加し発酵を開始させました。発酵温度は15~27℃で例年と比べるとやや低めの温度で発酵を進め、14日目で搾汁。その後すぐにMLF発酵が始まりましたが、還元臭も出ていたため、搾汁2日後にはラッキングを実施。MLF終了後には還元臭対策として樽に入れるまでの8ヵ月間、7回のラッキングを行い、還元臭が低下した翌年6月にフレンチオークの旧樽に移動し、約17カ月熟成させ、2021年6月下旬にボトリングしました。
色調は淡いルビー色。スタートの香りは控えめですが、樽熟成によるマッシュルームなどのキノコの香りやコーヒーの香り、チェリーなどの赤系果実の香り、仄かなすみれの花の香りが現れてきます。口当たりは、酸味が柔らかく丸み帯びた印象で、熟した赤系果実の甘味を感じたのちに、コーヒーのようなローストされた味わいが余韻に感じられます。全体的に、渋みが少なくバランスの取れた、丸みを帯びた熟成感のある穏やかなワインに仕上がっている。(ワイナリーさんの資料から抜粋)